ディズニー映画アラジンの主人公・アラジンは天涯孤独の身で貧乏な暮らしをしているところから物語が始まります。
ここで疑問なのがなぜアラジンは天涯孤独で貧乏な生活をしているのでしょうか。
作中ではハッキリと語られませんよね。 これはアラジンの父親と母親の設定を紐解くことでその背景が見えてきます。
今回は原作である「アラジンと魔法のランプ」の設定も交えて考察していきます。
アラジンはなぜ貧乏なの?
【理由1】アラジンの父親・母親も実は貧乏だった
映画アラジンでは、アラジンには父親も母親もおらず天涯孤独の身であるところから物語が始まります。
一作目ではその理由について何も語られずに終わってしまいますが、実は続編である「アラジン完結編 盗賊王の伝説」にてアラジンの父親が登場します。
アラジンの父親はカシームと言って、40人の盗賊の長になっていました。
しかしそれはまだアラジンが幼い頃、貧しい暮らしをしていたアラジンと母親に裕福な暮らしをさせてあげたいと、財宝探しの旅に出たことがきっかけだったのです。
さらに次の作品にて、アラジンの母親は亡くなってしまったいたことも明らかにされます。
アラジンが天涯孤独の身で貧乏な暮らしをしていましたが、それは父母の代からのことだったんですね。
そしてさらに父親は旅に出て、母親は亡くなってしまっていたことが背景にあったのです。
【理由2】原作の設定を引き継いだから
アラジンが貧乏だった理由は判明しましたが、制作側はなぜそんな設定にしたのかをより深く考察していこうと思います。
映画「アラジン」は千夜一夜物語の「アラジンと魔法のランプ」の話を元にしていることで有名です。
『千夜一夜物語』とは?
昔々、サーサーン朝にシャフリヤールという王がいた。
ある時、王は、妻の不貞を知り、妻と相手の奴隷たちの首をはねて殺した。
女性不信となった王は、街の生娘を宮殿に呼び一夜を過ごしては、翌朝にはその首をはねた。
王の側近の大臣は困り果てたが、その大臣の娘シェヘラザードが名乗り出て、これを止めるため、王の元に嫁ぎ妻となった。
シェヘラザードは命がけで、毎夜、王に興味深い物語を語る。話が佳境に入った所で「続きは、また明日」そして「明日はもっと面白い」と話を打ち切る。
王は、話の続きが聞きたくてシェヘラザードを殺さずに生かし続けて、ついにシェヘラザードは王の悪習を止めさせる。
「アラジンと魔法のランプ」はこの中でシェヘラザードが語った物語の一つとされています。
そしてこの「アラジンと魔法のランプ」でも主人公のアラジンは母親と2人で貧乏な暮らしをしているんですね。
ディズニー映画のアラジンが貧乏だという設定になった理由の一端は、この原作の設定から来ていたとみてよいでしょう。
【理由3】アラジンのストーリー上不可欠だったから
原作でもアラジンは貧乏な設定であったことが分かりましたが、制作側は改変することもできたはずです。
現にアラジンの母親は原作と違って亡くなっている設定となっていますからね。
なぜ設定を改変しなかったのかについては、映画アラジンのストーリー上不可欠な設定でもあったからだと思います。
この映画の主題はいくつかあると思いますが、その一つに 「身分を超えた愛」 があります。
ジャスミンは王女という身分抜きで自分を愛してくれる存在を求めていましたし、逆にアラジンは優しい心を持ちつつも裕福な暮らしや王族に憧れていました。
そんな2人がありのままの自分に戻って最後には結ばれる。
そんなところが映画アラジンの最大の魅力ですよね。
そこを語る上でやはりアラジンは最初から裕福では物語が成り立たないのです。
むしろアラジンが貧乏であろうと、仕事がなかろうと、ありのままにアラジンに惹かれるジャスミンの純粋さを引き立てる設定となっています。
こうしたことから、ディズニー制作陣はアラジンは貧乏であるという原作の設定をそのまま活かしたのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事をまとめると、
- アラジンが貧乏なのは父親・母親がいた頃から貧乏な家族であり、その家族も散り散りになってしまっていたから
- 原作となっている「アラジンと魔法のランプ」でも主人公アラジンは貧乏であったことも理由の一つと思われる
- 原作から貧乏という設定を変えなかったのは、ジャスミンとの身分を超えた愛に不可欠な設定だったから
でした。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。