高血圧は、その原因によって2種類に分類されている。
ただそれだけではなく、血圧が高い部位によっても細かく区分されている。
そのため「◯◯高血圧」といった呼び方が数多くあって、ちょっとわかりづらいところだ。
そこで今回は、高血圧の種類について簡単にまとめてみたのだ。
>>目次
1.高血圧の原因によって本態性高血圧と二次性高血圧症に分かれます
2.二次性高血圧症の種類
3.中々気づけない高血圧、「仮面高血圧」に注意
4.検診時だけ血圧が上がる、白衣高血圧と職場高血圧
5.上の血圧と下の血圧とは?
1.高血圧の原因によって本態性高血圧と二次性高血圧症に分かれる
まず、高血圧は、その原因によって大きく2つに分類できます。
- 一次性高血圧症(本態性高血圧)
遺伝や環境、生活習慣が原因で発生する高血圧のこと。
原因となりうるものが多く、はっきりと原因が特定できないことがほとんどだ。高血圧の患者の97~98%がこれにあたる。
- 二次性高血圧症
他の病気が原因で、血圧が上がってしまった状態のことを指す。
そのため、元の病気を治してしまえば、血圧も下がるとされている。
2.二次性高血圧症の種類
二次性高血圧症の中には以下のようなものがある。
腎性高血圧
二次性高血圧の中で、最も発症数が多いのが腎性高血圧。
腎臓の病気が原因で発症する。
高血圧が腎臓の機能低下を招き、腎臓の機能低下がさらなる高血圧を招いてしまう・・・という悪循環になるリスクがある。
肺高血圧
肺動脈の血圧が高い状態のことを指す。
動脈硬化などによって肺の血管が狭くなると、心臓は十分に血液を送り出すために、血圧を上げてしまう。
この時、心臓から血液を送り出す右心室は、より強く血液を送り出すために、心臓の筋肉を太くしていく。
その状態が続くと、心臓の壁が厚くなり続け、右心室の働きが悪くなり、右心不全を引き起こしてしまうこともあるのだ。
原発性肺高血圧症
原発性肺高血圧症は、心臓や肺に何の原因もなく、肺の動脈の血圧が高くなってしまう病気だ。
心臓や肺の機能に障害が出て、呼吸不全や心不全をもたらす。
また、早期発見が難しく、様態が悪いと数年で死亡してしまうこともある病気だ。
国から難病指定をされていましたが、治療方法が最近発見され、研究が進んでいる。
患者数は多くなく、比較的若く、女性の方に発症することで知られている。
若年性高血圧
35歳までの若い世代の人がかかる高血圧のことを、若年性高血圧と言う。
若年性高血圧の患者は二次性高血圧症の確率が高く、約3割が二次性高血圧症だ。
更年期高血圧
一方、更年期の患者の高血圧は、自律神経の乱れを主とした、一次性高血圧症である場合がほとんどだ。
また、更年期高血圧は、それまで低血圧だった人が急に高血圧になったり、血圧が不安定で変動しやすかったりすることも特徴なのだ。
その他の高血圧
内分泌の異常でホルモンバランスが崩れることで起こる内分泌性高血圧、先天性の血管異常などが原因の血管性高血圧などがある。
3.中々気づけない高血圧、「仮面高血圧」に注意
高血圧の種類の一つに、仮面高血圧というものがある。
これは、実際は血圧が高いにもかかわらず、健康診断や人間ドッグの時は、正常値が出てしまう状態のこと。
健康診断で正常値が出ると、自分は大丈夫だって安心する。
そうなると、本当は高血圧なのに・・・高血圧を自覚するのが非常に遅くなってしまう可能性が高くなるため、仮面高血圧は非常に怖いのだ。
仮面高血圧には、以下のような種類がある。
- 早朝高血圧
- 夜間高血圧
- ストレスによる高血圧
- 喫煙による高血圧
早朝高血圧
朝、起床時だけ血圧が急激に上がってしまうタイプの高血圧。
検診時には血圧は正常値に戻っているため、健康診断だけでは発見するのは難しい病気だ。
また、早朝は脳卒中や心筋梗塞といった病気が発生しやすいため、より注意が必要なのだ。
夜間高血圧
早朝高血圧とは逆で、夜、寝ている間だけ血圧が上がるタイプの高血圧。
しかし、早朝高血圧と同様に、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高いとされている。
ストレスによる高血圧
血圧は、ストレスによっても高くなる。
日ごろ仕事などでストレスを抱えていると、そのまま慢性的に高血圧になってしまうのだ。
しかし、検診時はそういったストレスから解放されるため、いつもより低い血圧になることがある。
このようなストレスによる高血圧も、仮面高血圧の一つになる。
喫煙による高血圧
喫煙は、高血圧の大きな原因の一つ。
タバコを吸っている間と、その後数十分は、通常よりもずっと血圧が高くなる。
ヘビースモーカーの人などは、さらにひどく血圧は上がっていく。
しかし、健康診断の時になると、「悪い数値が出ないように」直前だけ禁煙する人もいる。
そうなると、禁煙によって、一時的に正常値が出てしまうのだ。
4.検診時だけ血圧が上がる、白衣高血圧と職場高血圧
次に、仮面高血圧とは全く逆の、検診の時だけ血圧が上がってしまう例を紹介したい。
まず、白衣症候群と言う。
病院などで白衣の人に血圧を測られる緊張から、普段より高い数値がでてしまうのだ。
次に、職場高血圧というものがある。
これは、職場内での健康診断があった時に、職場のストレスがそのまま高い血圧につながってしまうことを指す。
職場高血圧は、上で説明した「ストレスによる高血圧」の裏返しでもある。
患者がどちらの高血圧なのかというのは、患者のストレスや環境によって左右されてしまうのだ。
このように、血圧と言うのは、ちょっとした環境や個人の様態の変化で大きく変わってくる。
そのため、本当に高血圧なのか、逆に本当に高血圧ではないのか、といったところを見極めるのが難しい病気なのだ。
5.上の血圧と下の血圧
血圧には「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の2つ種類がある。
収縮期血圧は心臓が血液を送り出す時の血圧。
「上の血圧」ともいい、血圧が最も高くなる時の血圧のことだ。
拡張期血圧は心臓が血液を送り出した後の血圧。
「下の血圧」とも呼ばれ、血圧が最も低くなる時の血圧のことだ。
一般に、
上の血圧が高いと「加齢による動脈硬化が進行する」、
下の血圧が高いと「加齢以外の肥満などによる動脈硬化が進行する」
と言われています。
血圧を下げるには(戻る)