急性膵炎は、突然腹痛や吐き気に襲われる病気です。

「急にお腹が痛くなったけど、急性膵炎かも…」と思っていませんか?
もしくは「急性膵炎に1度なったことがあるけど、再発するのかな…」と不安になっていませんか?

急性膵炎は、中性脂肪の増加やアルコールの飲みすぎが原因で起こる病気です。
これらは、メタボリックシンドロームにもつながることです。

そのため上のような不安を抱えている人は、今すぐにメタボリックシンドローム予防の対策をしましょう。

ここでは、急性膵炎について詳しく書いていきます。

急性膵炎とは

急性膵炎は、すい臓で起こる病気

すい臓は、胃の背中側にあるこぶしほどの大きさの臓器です。
すい臓の役割は、大きく分けて2つあります。

1つは、消化を促すための物質(消化酵素)を消化管に送り込む機能。
すい液という液体に様々な消化酵素を混ぜて送り込みます。

もう1つは、血糖値をコントロールするための機能。
すい臓は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)やグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)を分泌しています。

急性膵炎は、すい臓が炎症すること

急性膵炎は、すい臓が炎症することで起こる病気です。

原因としては、中性脂肪の増加による脂質異常症や、アルコールの飲みすぎが挙げられます。
お腹の上のあたりが激しく痛んだり、吐き気を催したりするのが主な症状です。

急性膵炎の原因は、メタボリックシンドロームと深い関係があります

急性膵炎は、脂質異常症とアルコールの飲みすぎが原因で起こります。
これらは、メタボリックシンドロームや様々な生活習慣病の原因にもなります。

つまり急性膵炎になってしまった人は、他の病気にもなりやすい状態と言えます。

中性脂肪が増えると、急性膵炎になりやすい

すい臓が分泌しているすい液の中に、リパーゼという物質があります。
リパーゼには、中性脂肪を分解する効果があります。

リパーゼは普段、腸の中で働いています。
しかし高中性脂肪血症(脂質異常症の一種)の場合、すい臓内でリパーゼが働いてしまうことがあります。

なぜなら高中性脂肪血症になってしまうと、すい臓内にも中性脂肪が溜まってしまうからです。
そして、リパーゼがすい臓内で中性脂肪を分解してしまうのです。

中性脂肪がリパーゼによって分解されると、遊離脂肪酸とリゾレシチンという2つの物質が生じます。
リゾレシチンは、細胞膜を破壊する作用があります。

そのため、すい臓の細胞膜が破壊されて、炎症が起こるのです。

アルコールの飲みすぎは、すい液を増やしてしまう

アルコールには、すい液の分泌を促進する作用があります。
一方で、すい液を腸に送り込むためのすい臓の出口を狭くしてしまう効果もあります。

すると、すい液がすい臓の中にどんどん溜まっていってしまいます。
そして上の様に、中性脂肪の増加によってすい臓内でリパーゼが働くことで、すい臓が炎症を起こしてしまうのです。

急性膵炎にはどんな症状があるの?

急性膵炎の初期症状としては、お腹の上のほうが痛むことが挙げられます。
ひどいときには立っていられなくなるほど痛む場合も。

また、背中や腰も含めた痛みになることもあります。
さらに、吐き気を催す人もいます。

急性膵炎が重症になると、冷や汗やめまいなどの症状がでます。
そして血圧が下がったり脈が速くなったりして、ショック状態になり命にかかわる状態になってしまいます。

急性膵炎の2種類の検査方法

急性膵炎の検査には、血液検査と画像検査を行います。

血液検査では、すい液に含まれているアミラーゼやリパーゼなどの消化酵素の値を調べます。
これらの値が高ければ、すい液の分泌が過剰になっているとわかるからです。

画像検査では、すい臓が炎症で腫れていないかを診ます。

急性膵炎の治療は、食事制限で行われる

急性膵炎の治療では、1~2日間絶食をして、栄養補給を点滴で行います。
なぜなら食事をすると、それを消化するためにまたすい臓が働いてしまうからです。

原因で触れたとおり、すい臓が働くとすい液の影響でまた炎症が起こってしまいます。
そのため食事をせず、すい臓を休ませる必要があるのです。

そして、そのあとはできるだけ消化をしないで摂取できる食事をします。
例えば、お粥やスープなどです。

そこから徐々に固形の食事に戻していきます。

急性膵炎の予防は、メタボリックシンドロームの予防につながる

急性膵炎を予防するためには、脂質異常症にならないようにするのが大切です。

原因で触れたように、脂質異常症により中性脂肪が増加すると、すい臓内に中性脂肪が溜まってしまいます。
その中性脂肪を分解することで、すい臓に炎症が起こってしまうのです。

急性膵炎を予防するためにはまず、食生活と運動の改善をしましょう。
これは、メタボリックシンドロームの対策にもなります。

そして、アルコールが好きな人はこの機会に量を減らしましょう。
アルコールの飲みすぎは急性膵炎の原因だけではなく、メタボリックシンドロームの原因にもなります。