日本での「メタボ・肥満」のイメージは、「中年期以降の健康の問題」が強いのではないでしょうか?
就職活動のニュースで、メタボ・肥満問題が話題にのぼる事は、あまりないですね。
一方、海外のメタボ・肥満先進国(?)では就職にも影を落としているようです。

実際、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)の軍隊採用は、「メタボ・肥満」が原因で、大きく難航しています。

「メタボ・肥満」と「就職」の関係について、アメリカ、中国、フランス、イギリス、の情報を少し、覗いてみましょう。

アメリカのメタボ・肥満問題は就職、昇進にも影響大

今年度、アメリカの軍隊8万人の採用が難航!

若者のなんと!27%が肥満が原因で、応募基準に満たないそうです。
その上、運動不足で体力も基準に達していない。
採用側は、質を落としたくない(採用基準を緩めたくない)というジレンマを抱えています。

「これは、軍隊採用だけの問題ではなく、国全体の大問題、小学校時からの給食の改正、運動を増やすなど、国をあげた対策の充実を」と、切実にうったえています。

採用時の就職差別はありませんか?

素晴らしい学歴、経歴なのに太りすぎにより採用されない人がいるそうです。
女性は特に顕著で、履歴書の写真で判断される傾向があり、調査テストでも、太りすぎ前、太りすぎ後では、後者の方が不採用になりやすいという結果が。

太りすぎの人は、自己管理ができない、リーダーシップがとれない、休みがち、仕事をやり遂げる体力がない、などのイメージが定着しているため、採用側はリスクがある太りすぎの人を、採用したくないようです。

また、人種差別や、宗教差別と違い、メタボ・肥満による差別の定量化は難しいため、法律でも守られていないようです。

就職や昇進の時、体重(メタボ・肥満)は問題になります

太りすぎの管理職は、仕事の実績や対人評価も、低くみなされる傾向がある、という結果が報告されています。

また、メタボ・肥満の人は、病気になる頻度も高くなる、とみられており、生産性の悪さや医療費の高額化への懸念も、持たれています。

中国の都市部、メタボ・肥満の雇用差別は女性に対してだけ?

中国の都市部での雇用差別は、太り過ぎの女性に対してだけで、男性にはないそうです。

Jay Pan氏率いる四川大学のグループの調査報告によると、中国の都市労働において、標準(体重)より太り過ぎの女性は、雇用見込みが平均で15.2%減り、男性にはそのようなペナルティーはないようです。
(逆に、標準体重に満たない場合は、女性で22.9%、男性で34.3%、雇用見込みが減。)

メタボ・肥満は、就職に影響し、女性のペナルティーは男性の3倍にものぼるそうです。

フランス女性と細身:「太っていると仕事が得られない」?

太っていると仕事が得られない、でも、シルエット(容姿)が、シック、とてもスリム、エレガントならばそうでもないだろう」というコメントに、フランスの人の、個性への尊重と、美意識の高さを感じます。

また、かなり太っている女性が、自営業をやる事で問題を解消している例もありました。

フランスでは、70年以上も前に、ココ・シャネルが、女性をコルセットから解放したというのに、今日では「フランス人女性は細身じゃなくては」、という海外や社会的圧力が、フランス人女性の精神的束縛となっている、皮肉な一面もあるようです。

イギリスでも、メタボ・肥満は就職に不利?しかし法律で守られていた!

英国の1000人の雇用主に調査したところ、メタボ・肥満の人は生産性が低く、雇用の見込みも低いという報告がされています。
雇用主の半分は、肥満だと面接で不採用になる傾向があると回答し、仕事で要求されたことができない、ビジネスの役割を十分果たせない、という懸念を抱いており、決して有利にはならないようです。

しかし、イギリスでは法律が味方についています。
求職におけるどの段階であっても、メタボ・肥満に対する、ステレオタイプの仮定や懸念、差別に対しては法律が警告をならします。
なぜならば、肥満は障害とみなされたケースが、あるからです。

【例1.】欧州司法裁判所は、肥満は障害(者)に該当すると言い渡しました

裁判で、デンマークの保父の仕事をしていた男性が肥満で、子供の靴紐を結べない、と解雇されたそうです。
これに対して、肥満は障害であるとし、不当解雇の判決が出されました。

雇用側には、メタボ・肥満の採用に関し、賠償を払う事への懸念も生じているようです。