トランス脂肪酸という脂肪酸の名前を聞いたことはあるだろうか?
トランス脂肪酸は脂肪に含まれる成分の一つで、その摂りすぎがメタボにつながる原因になると指摘されている。
トランス脂肪酸は加工しやすく、日常の様々な食品に使われている。
マーガリンや植物性のホイップクリームなどが特に有名だ。
トランス脂肪酸の危険性は最近特に指摘され始め、アメリカでは2018年からトランス脂肪酸の使用が原則禁止になるなど、外国では国を挙げての対策が進められている。
しかし、日本では現在、トランス脂肪酸に対する規制は一切かけられていないのが現状である。
トランス脂肪酸は食品の原材料名にはそのままの名前で表示されず、「植物油脂」といった名前で表記されていてわかりづらいことが殆どだ。
また、レストランなどの外食の料理にも、トランス脂肪酸は多く使われている。
今回は、そのような身近にあるのに気づけない、トランス脂肪酸についてまとめた。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸が体に悪い!ということはなんとなく知っている人も多いと思う。
しかし、実際のところトランス脂肪酸とは一体何なのだろう?
まず、そもそもトランス脂肪酸とは何を指すのか説明する。
そもそも脂肪酸って何?
トランス脂肪酸は文字どおり、脂肪酸の一種だ。
それでは脂肪酸は、成分のカテゴリとしてはどこに入るのだろうか。
脂肪酸とは「脂肪の中に含まれる成分の一つ」である。
脂肪には、脂肪酸の他にも中性脂肪、コレステロールなどが含まれている。
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種
本題のトランス脂肪酸とは何なのかについて触れていく。
脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に2種類があり、その違いはそれぞれの炭素の結合の数で変わってくる。
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸という脂肪酸の一種だ。
他の有名な不飽和脂肪酸にはEPA-DHAや、α-リノレン酸が挙げられる。
どちらも血圧を下げたり、動脈硬化を抑えてくれることで有名な不飽和脂肪酸だ。
こう書くと不飽和脂肪酸は健康に良さそうな成分のように思える。
しかし、トランス脂肪酸はそうともいかず、むしろ体に害にしかならないのが問題なのだ。
不飽和脂肪酸にも種類がある
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸だという話はさきほどしましたと思う。
不飽和脂肪酸にも種類があり、トランス脂肪酸とその他のEPA-DHAや、α-リノレン酸は種類が異なるのがポイントだ。
簡単に言うと、トランス脂肪酸は人工物、EPA-DHAや、α-リノレン酸は天然物の不飽和脂肪酸だと言える。
トランス脂肪酸は常温では液体の油(植物油や魚油)を固体に加工する「水素添加」をした際に発生する。
牛の嚥下のように、天然で微量に発生する場合もあるが、トランス脂肪酸の発生原因は殆どが人間の油の加工の過程にある。
トランス脂肪酸を食べ過ぎるとどうなる?
簡単に脂質の取りすぎになってしまうため、メタボの進行が進む
トランス脂肪酸は使いやすく、私たちがなかなか気がつけないところにもたくさん潜んでいる。
マーガリン、ケーキ、アイスクリーム、カップ麺、フライドチキンなど…
日常で好んで食べるものが非常に多いのがわかると思う。
また、冷凍食品も、解凍してもサクサクと食べられるように、トランス脂肪酸を使用していることが多い。
また、トランス脂肪酸を食べたところで最近人気のオリーブオイルやココナッツオイルのように体に良い効果をもたらしてくれるわけでもない。
結果として、どんどんメタボを進行させてしまうことになってしまうのだ。
メタボリックシンドロームが進行すると、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの病気にまで発展してしまう場合もある。
トランス脂肪酸は、メタボに悩む人にとっては死活問題なのだ。
トランス脂肪酸自体にも体に悪影響を引き起こす可能性が
トランス脂肪酸は、メタボになってしまう程度まで簡単に、たくさんの脂質を採ってしまう原因である。
また、その沢山の脂質として悪玉コレステロールを増やしてしまうため、メタボや動脈硬化をいっそう助長するわけだ。
しかし、トランス脂肪酸はそれ以外にも体に悪影響をもたらすという研究や報告が上がってきた。
トランス脂肪酸は、メタボリックシンドロームの助長以外にも、以下のような害があるのではないかと報告されている。
- アレルギー疾患にかかりやすくなる
- 認知症の進行
- 不妊症・子宮内膜症のリスク
- うつ病の助長
しかし、これらの報告はまだ研究として立証されて居るわけではなく、対象も外国のものだ。
さらに、トランス脂肪酸にも種類があるため、どのトランス脂肪酸が体に害となるのかは、依然としてはっきりわかっていない。
海外に比べて日本はトランス脂肪酸の摂取量はまだ低めであることに加えて、以上のように日本ではまだ研究が進んでいないことから、日本ではトランス脂肪酸の規制は行われていないようだ。
トランス脂肪酸を摂り過ぎてしまう原因
トランス脂肪酸は使いやすい!どんどん食べすぎになってしまいます
トランス脂肪酸はそれ自体が体に良くないとされている。
しかし、最も恐ろしいのはその「便利さ」だと言える。
トランス脂肪酸は、便利ゆえに様々な加工食品に多く使われている。
出来合いのものを多く食べることが多くなった現代ではすぐにトランス脂肪酸の摂りすぎに陥ってしまうというわけだ。
油以外にも色々使える上に、美味しく作りやすい
トランス脂肪酸を使用した料理は、ファーストフードに多い人好みのする味になる。
いわゆる「カラッと、パリッと」した食感は、トランス脂肪酸のおかげなのだ。
また、トランス脂肪酸はショートニングやファットスプレッドなどの粉物の材料にも含まれて居るため、油物に気をつけるだけではダメだという点も怖い。
トランス脂肪酸は他の油に比べて安い!
トランス脂肪酸を使った食品は、他の油を使用した食品に比べて非常に安いこともポイントだ。
例えば、マーガリンとバターの値段を比べると、どうしても安いマーガリンの方に目が行きがち。
これは食品企業も同様で、よりお手軽な値段にするためにも、加工食品やファーストフード店ではトランス脂肪酸を使用したファットスプレッドなどを使うことが多くある。
トランス脂肪酸が多く含まれている食品
トランス脂肪酸を多く含む食品
最後に、トランス脂肪酸が特に多く含まれている食品を少しだけ挙げておく。
以下の食品以外のものにも、トランス脂肪酸は私たちの食生活に大きく関わっている。
しかし、下に書いた食品を避けるだけでも、私たちが摂取するトランス脂肪酸の量は大きく変わるのだ。
まずは意識するところから始めてみよう。
トランス脂肪酸を含む油系の食品
- マーガリン
- ピーナツバター
- マヨネーズ
- コーヒークリーム(植物性のもの)
普通の食品でもトランス脂肪酸を多く含んでいる
- フライドチキン、ハンバーガーなどのファーストフード
- 冷凍食品
- インスタント・レトルト系の食品(カップ麺など)
- お菓子・スナック類
- 菓子パン
気をつけたい成分表示
トランス脂肪酸は原材料名にそのまま「トランス脂肪酸」と明記されることはほとんどない。
原材料名欄で、トランス脂肪酸やそれを含む食品は以下のような表記をされることが多い。
買い物の際に、少し気にかけておくことをお勧めする。
- マーガリン
- ショートニング
- ファットスプレッド
- 植物油脂
- 精製加工油脂
- 水素添加大豆油